「アインシュタインの脳パズル」の答え合わせ
数学に興味を持った私が最初の頃に買った本がこれです。
「アインシュタインの脳パズル」ジェレミー・スタンルーム著 池上裕二監訳 三笠書房出版
答えのない問題や直感と合わないものがあって、大いに楽しんで読みました。パズル本でありながら、紹介されている問題は論理、統計、確率、哲学など、幅広いです。しかし、数学を学ぶうちに、中には「もっと正しい答えがあるのではないか?」と思ったので、ここで答え合わせをしたいと思います。ほとんどは私個人で考えたものなので、いずれも正しいとは言えないです。
3 男の子?女の子?
これはうごメモでも上げましたが、子供が増えた場合に、私の直感とは合わなくなるのです。ここでは、全員男の場合は1通りと考えています。では、子供が99人いて、そのうち98人は男だとわかっている場合はどうでしょう?本と同じ考え方だと、残り一人が女の確率は99/100で、男の確率は1/100になります。しかし、98人が男でも、残り一人の確率が偏るのはちょっと変な感じがします。コメントであった指摘は、「残り一人が何番目に生まれたかを考えるなら、全員男の場合を1通りと考えるのはおかしいんじゃないの?」とありました。確かにこう考えるなら、残り一人の確率はどちらも1/2になります。
18 予告されたサプライズ・パーティ
これは「抜き打ちテストのパラドックス」とも呼ばれています。しかし、イアン・スチュアートの本では、パラドックスであることを否定していました。理由は(私の覚えてる範囲で)、それが毎朝朝礼で「今日は抜き打ちテストがあります!」と生徒が宣言するようなもの、と書いてありました。確かに、毎日生徒が、今日は抜き打ちテストがあると思っていれば、いつやってもそれは抜き打ちテストにならないでしょう。クレアの場合、最初の「木曜日の真夜中までにパーティがなかったら、サプライズパーティにならない」というのは、正しいと思います。しかし、それは木曜日の真夜中にならないとわからないので、水曜日の真夜中にないとわかっても、その段階で木曜日か金曜日か言い当てるのは無理でしょう。
25 これぞ、究極の選択!
これは、ひとつの解釈のもとでの答えかもしれません。ゲーム理論の本で読んだのですが、哲学者ノージックは、「支配戦略の原理」に従うなら両方の箱を開けるべきで、「期待利得最大化の原理」に従うなら青い箱だけ開けるべきだとしています。そして、「青い箱の状態」と「プレーヤーの選択」が独立ならば、2つの原理の結論は一致して、独立でないならば、「期待利得最大化の原理」に従うべきだと主張しています。この考えは、心理学的ゲーム理論で説明されています。*1(詳しくはその本(※)をお読みください)
また、たけしのコマ大数学科でも面白いパラドックスが紹介されていたので、ついでに紹介します。
お金が入った箱が二つあり、プレーヤーにどちらかを選ばせます。そして、選んだあとに、「片方の金額は、もう片方の金額の10倍か、1/10倍になってるよ」と教えます。このときプレーヤーは、「自分の選んだ箱に入っている金額をxとすると、期待値は
となって、変えたほうが期待値が大きい」と結論づけます。しかし、最初に選んだ確率が1/2なので、変える意味があるのか?というパラドックスです。コマ大数学科では変えたほうがいいとなっていましたが、これは期待値の計算に誤りがあると思います。10倍か1/10倍かはわかっていますが、その確率が1/2かどうかわからないからです。
いずれにしても、パラドックスはやはり面白いものです。